不安や心配なことがあるときの不眠の対処法

不安や心配なことがあると眠れなくなってしまうことを理解するために

2026年5月29日にとりのこ心理オフィス主催の「働く人のためのメンタルヘルス巣ごもりセミナー」では、睡眠とメンタルヘルスについてお話をしました。今回はその時のお話から、不安になったり、心配なことがあると眠れなくなることについて説明します。

心配性と呼ばれる人は、先に色々考えて、準備することで不安なことに対処しようとします。不安や心配になることは決して悪いことではないのですが、考えすぎることで、不安なことから気持ちや思考が離れられなくなってしまうこともあります。

不眠の人たちが悩んでいることとは、多くの場合、①このまま眠れなかったら明日どうしようと、眠れないことそのものに悩んでいるとき、②すぐには解決できないことを思い浮かべて心配・不安になっているときが多いです。特に、「反芻思考」という、何度も何度も同じことを考えていたり、どんどん連想が広がって、こっちの時はどうだろう、あっちの時はどうだろうと不安が止まらない状態になっているのです。

不眠のメカニズムとしての自律神経と不安

睡眠には、自律神経の働きが関わってきます。自律神経とは、交感神経と副交感神経のバランスによって成り立っています。交感神経は、人が活動したり、働いたり、興奮しているとき・危機を感じるときに働き、一方、副交感神経は、人が休息するとき、リラックスするときに働きます。この二つは「やじろべえ」の関係に例えられ、どちらかが優位に働いているときには、もう一つの神経が働きにくくなる、バランスを保ちながら機能しているのです。

子どもが運動会や遠足を次の日に控えて、しっかり休んで備えるべきであっても、楽しみで眠れなくなってしまうことがありますが、これは自律神経が、交感神経に傾くようにスイッチが入ってしまい、脳が活性・興奮して、覚醒水準が上がってしまったために起こります。

実は、不安になることも同様のメカニズムが働いており、明日の仕事の予定を思い出して悩むことも、交感神経に傾くスイッチが入ってしまい、眠れなくなっているのです。そのため、眠りやすくするためには自律神経の働きを副交感神経の方へ傾かせる工夫が必要となります。

「不安で眠れない人たち」のための具体的な対処とは

とりのこ心理オフィス・ブログ画像

眠れない時に眠りやすくなるための前提として、ベッドにいる中で眠れずに悩むことが繰り返されると、「ベッドの中は眠れない場所」と脳に認識されてしまうので、一度ベッドから離れて、眠気を感じたらベッドに行く、という対応をとることが必要になります。ベッドから離れることを「今日はそんな日だ。仕方ない」と対応できることも、眠れない心配状態から一呼吸おけるようになるための工夫です。

寝る前に体を緩めるようなストレッチすることも、心の状態も緩めるという意味で効果的な場合があります。ただし、筋トレなどの激しい運動は交感神経を活性化させるので、むしろ逆効果ですので気をつけましょう。

眠りやすくなるためには、不安や悩み事から意識を逸らさせる・「脳をつまらなく」させて、副交感神経を優位に働かせることが必要です。心配性な人ほど考えて安心したいので、「考えない」ことは難しいと感じるかもしれません。「考えない」ことを目指すというより、考えを一時ストップ・棚上げできるような工夫をすることが大切なのです。

音楽や音声など、音がある方が意識が逸れる場合は、音楽やラジオなども良いかもしれません。ただし、「脳をつまらなく」させるためには、何度も聞いたことがある、オチがわかっている内容にする必要もあります。私のお会いしていた中では、落語を聞きながらが良かった、という工夫を話してくれる方もいましたし、お経を聞くのがなんだか安心したと語る方もいました。

ベッドの中でスマートフォンを見ることは、「考えない」ことを助けてはくれるのですが、新しい情報が刺激的になったり、面白くなってしまうために眠気から遠ざかります。もしも見るのであれば、紙に書かれた、何度も読みなれたちょっとつまらなく感じるような小説や漫画の方が眠気に近づきます。

大切なのは、自分にとって無理のない工夫です。同じ音楽でも、歌詞があると意識がそちらに逸れるので良いという場合も、歌詞が気になってしまう人にとってはクラシック音楽のような言葉のないものが良い場合もあると思います。ぜひ自分に合う方法を探してみてください。

もう一つ、工夫について大切なことは、「〇〇したら眠れた」という一つの方法が成功したとしても、工夫は複数・いろいろとあった方が良いことです。なぜなら工夫が一つしかないと、「〇〇したのに眠れなかった」というまた不安のループの中に入っていってしまう可能性があるからです。時には、焦らずに「今日はそんな日」とベッドから離れつつ、自分に合った・無理のない方法を見つけてもらえたらと思います。

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この記事を書いた人

小島 綾子のアバター 小島 綾子 公認心理師

とりのこ心理オフィスは2021年に開室したカウンセリングルームです。
霞ヶ関アーバンクリニック(現在は閉院)線維筋痛症の専門外来での15年の経験を活かし、「痛みを伴う病気」と「女性の困りごと」への心理的サポートを行っています。丁寧にお話をうかがい、ご自身なりの最適解を見つける「切れ目のない支援」が目標です。2026年4月より御茶ノ水にて対面カウンセリングや心理検査も開始しました。