線維筋痛症のカウンセリング

線維筋痛症とは

とりのこ心理オフィス:線維筋痛症のイメージイラスト

線維筋痛症は、慢性的に痛みが続く病気です。

ただし、現代医学では何らかの検査をしても原因不明であることでこの病名が付けられます。検査で何かしらの炎症反応が示された場合には、例えば、関節リウマチや脊椎関節炎等の別の病名と診断されることがあり、適切な治療が選択されます。

痛みという症状は似ていても、炎症反応がないけれど痛みがあるのが線維筋痛症の特徴です。他の病気との除外診断が必要になるため、診断されるまでに時間がかかることが多いです。

治療では、ある種のお薬は痛みの軽減に効果があることが知られていますが、人によっては効果がある・ないというのが違っており、痛みを和らげるための対症療法が中心になります。

この病気になることによって、長くQOL(生活の質)が下がってしまうことが知られています。近年の研究知見から、ストレスが痛みの感じ方に影響を与えることが知られており、治療には心理社会的な要因を理解し、心理的なサポートも必要であると言われています。

線維筋痛症の心理療法

線維筋痛症や慢性疼痛に対するガイドラインでは、エビデンスのある治療(より推奨される治療)として、認知行動療法(CBT)が挙げられています。

認知行動療法は、ものごとの捉え方や考え方、もしくは行動に変化を与えるための精神療法です。線維筋痛症患者さんは、⾃分には痛みをどうすることもできないという考え方を持っていたり、痛いから動けないと活動を制限してしまう傾向があり、ネガティブな考え方がより気分の落ち込みを招いたり、動かないことでより身体がこわばり、筋肉が緩むことがなく、より痛みを感じやすい状態になってしまうことがあります。

認知行動療法では、考え方にアプローチをしたり、行動を変化させるための方策を身につけていくことで、痛みへの向き合い方に変化をもたらしたり、行動範囲を広げることで生活の質を上げていくことが目的となります。

線維筋痛症のカウンセリング

上記で書いてきたことは、線維筋痛症のガイドラインや痛みの治療に関して一般的に言われていることで、さまざまな書籍に書かれていることです。ここからは、私が線維筋痛症患者さんに対してカウンセリングをしてきた経験から述べていきます。

「困っている方から丁寧にお話を聴く」というカウンセリングという言葉で想像されるような一般的な心理療法は、線維筋痛症のガイドラインでは、残念ながら、エビデンスある方法としての評価は、弱い推奨度になっています。

しかし、実際には“カウンセリングを希望する”と来談された患者さんたちの中で、心理士に対して「認知行動療法をやってほしい」と希望される患者さんはほとんどいませんでした。なぜなら、患者さんは「痛みが良くなってほしい」「痛みがなくなってほしい」という気持ちはあるものの、診断がつくまで・治療につながるまでに、すでにもう疲弊し切っており、何かを「変える」ということ自体に負担感を抱いてしまう方も多いからです。

また、痛みにつながるような、ご自身にとってのストレスそのものについて話したいと望んでいる方が一定数いて、その方の人生そのものと言えるようなお話を語ってくれることもありました。

当然ながら、人生を語ることは個別性そのものなので、エビデンスという言葉で一括りにできるようなカウンセリングの効果測定にはまるものではありません。しかし、ストレスを語ることが自分自身への気づきにつながって、自分らしい生き方やあり方へとつながることがあり、経過の中で、結果として痛みが軽減される方もいました。

その意味では、カウンセリングは、意味があると実感できるまでに時間がかかる可能性はありますが、患者さんにとって負担の少ない、侵襲的でない方法と考えられます。必ずしも痛みを軽減する効果があるとはいえませんが、痛みに対する治療を続けていくための一つのサポートにもなりえます。

今、つらい想いを抱えている方にとっては、カウンセリングも一つの選択肢として考えていただけたらと思います。

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この記事を書いた人

小島 綾子のアバター 小島 綾子 公認心理士

とりのこ心理オフィスは2021年に開室したカウンセリングルームです。
霞ヶ関アーバンクリニック(現在は閉院)線維筋痛症の専門外来での15年の経験を活かし、「痛みを伴う病気」と「女性の困りごと」への心理的サポートを行っています。丁寧にお話をうかがい、ご自身なりの最適解を見つける「切れ目のない支援」が目標です。2026年4月より御茶ノ水にて対面カウンセリングや心理検査も開始しました。