子どもが心配される状態となったときに

子どもは、それまでは問題ないように楽しそうに学校に行っていても、さまざまな要因で、様子が変わったり、元気がなくなったり、家の中でイライラすることが増えたり、時には学校をお休みする日もあります。子どもは成長中の存在のため、多くの場合には、お子さん自身が持っている柔軟性や周囲の助けによって、一時的なこととして元の状態に戻ります。しかし、元の状態に戻らず、いつもと違う状態が長く続くようになると、親御さんの立場では心配になって、どんな手助けができるのか、見守っていたら良いのかと対応に迷うことがあるでしょう。
お子さんが何かに悩んでいる様子があれば、親御さんが悩みを聴き取り、担任の先生に相談したり、お子さんの年齢にもよりますが、現在はほとんどの学校でスクールカウンセラーにアクセスすることができるので、お子さん自身にスクールカウンセラーに相談してみることを勧めることもあるかもしれません。
子ども自身に対してではなくても、親御さんへのカウンセリングも意味がある

お子さんが何かに困っていそうな様子があっても、中には自分の気持ちを上手に言葉にすることができないタイプだと、親御さんからお子さんに「〇〇先生に相談してきてごらん」と促しても、お子さんは話す場そのものを尻込みしてしまうことがあります。思春期に入ると、子どもは親と物理的にも心理的にも距離をとって、悩み相談をするということも避けがちですので、親御さんの立場では、「何かに困っていそうだけど子どもが何に困ってるのか分からない」ということが起こりやすくなります。
親に言えなくても子ども自身がカウンセラーに会いにいく、ということができれば、親でなくても大人と相談していてくれる状況は安心につながります。しかし、気持ちを上手に言葉にすることができないタイプのお子さんは、何を話したらよいのか分からないので、「何を話したらいいのか分からないから」という言葉ではなく、「いやだ!行きたくない!」と拒否しかできないこともあります。
そんなときにはお子さんご本人の気持ちは掴めていないにしても、心配して困った親御さんがカウンセラーのところに相談に来ることがあります。カウンセラーは、お子さんとは直接会わないまま、親御さんとのカウンセリングの中でよい方向を模索して相談することも、効果や意味があるのです。
子育て中の親御さんへのカウンセリングが意味あるものとなるためには

カウンセリングでは、カウンセラーは親御さんから、日々の心配や子どもの様子を聴いて、お子さんのこれまでの成長過程から、どんなふうに今につながっているのかを一緒に考えます。また、言葉にはならないまでも、お子さんがなぜそんな言動をしているのかを一緒に推測します。
以前、不登校になってしまった中学生のお子さんのいるお母様から相談を受けた際に、こんなお話をしました。お子さんは、家族でご飯を一緒に食べる際も、イヤフォンを耳にしたままで家族と会話をしようとしません。お母様はそんな様子を見て「何かの当て付けなのか」という気分になり、イライラしてしまったと言います。
ここでカウンセラーができるのは、お子さんの気持ちの翻訳です。「確かにお子さんの様子は拒否的な態度に見えるかもしれないけれど、お部屋に引きこもって家族と接しないという選択肢も取れるのに、家族のいるリビングに居ようとするのはお子さん本人も不安だったり、分かってほしい気持ちがあるのかもしれない。でも、何かを言われてしまうのは怖いのから、イヤフォンでガードしているのかもしれない」。そんな言葉を投げかけたところ、お母様は思い当たることもあったようで、お子さんへの見方が変わってきました。
そこからカウンセリングでの主題は、不登校をどうするかという話はちょっと横において、お子さん自身の気持ちを話していけるようになるためを目標にして、お子さんとお母さんが普段の生活で何気ない会話をするにはどんな工夫ができるかになっていきました。その後、お母さんは話の聴き方に工夫をし、お子さん本人と納得できる進路選びについての話ができるようになりました。
親として「子どもにはこうしてほしい・こうあってほしい」という希望や期待があるのは、ある意味当然だと思います。ただし、上記のケースでは、親御さんへのカウンセリングが意味あるものとなるためには、親から子どものペースに歩み寄ってもらえたことが一番奏功した理由ではなかったかと思います。
子育てには正解はないですが、カウンセリングではいろいろな視点で事態を考えられるようにサポートしていきます。親御さんだけのご相談でもかまいませんので、お困りであればご検討ください。